当時は漠然と『製品の設計や開発をする仕事に就きたい』と考えていたので、機械設計を募集している企業を、地元（香川県）とその近県の中から選んで就職活動をしました。その中でもマイクロクラフトは独自の技術を持ち、緻密な製品を開発していることと、地方の企業でありながらグローバルにビジネスを展開していることに魅力を感じました。

また、その頃は携帯電話やデジカメが身近になり、デジタル機器が広く普及していることを実感できる時代でした。そういった製品の中身には必ずプリント基板が使われていますので、プリント基板に関わる製品を開発していることに将来性を感じました。

プリント基板検査装置とインクジェット印刷装置の機械設計をしています。設計を行うツールには2D-CADと3D-CADがあり、そのときの状況に応じて使い分けています。

基本設計から専用設計まで様々なケースがあり、過去の実績と新しい考えを掛け合わせて、より良い製品に仕上げます。また、設計業務だけでなく、技術開発や開発機の組立、製品の評価から、納品された後のフォローまでモノづくりに関わる業務を関連部署と協力しながら行っています。

インクジェット印刷装置の印刷ヘッド表面のコンディションを整える機構部を担当したのですが、ほとんど前例もない状況で、自分なりに試行錯誤して設計を行いました。そして、出来上がった試作機構をテストしてみたところ、まったく思ったように働いてくれなかったのです。「どうすればいいんだろう…」その時は本当にそう思いました。

それから関連部署の担当者と意見やアイデアを出し合い、実験と失敗を繰り返しながら3年ほど経ったころ、製品として成立するところまで辿り着きました。失敗しながら色々な知識やノウハウを得た体験や、ゼロからスタートした開発をやり遂げたことはとても良い経験になりました。

設計や開発で難しい問題に直面したとき進捗が止まってしまうことがあります。そんなとき、機械設計の枠だけに囚われず広い視野で問題をとらえ、解決できるようになることが今の目標です。社内には色々な測定・分析機器やシミュレーションソフトなどもありますし、相談できるスペシャリストもたくさんいる恵まれた環境にあります。

普段からアンテナを張り、どんな情報もヒントにする感性を磨き、コミュニケーションを活性化させてチャンスを逃さないように行動していきたいと思っています。

機械設計に興味があるけど、自分にできるか不安に思っている人もいるかもしれません。CADの扱いや機械全般に関する知識を身につけることも大切ですが、それよりも問題を解決まで導く思考力や期限までに答えを出す力が重要な仕事だと思っています。

難しい壁にぶつかることもありますが、それを乗り越えた時はいつも安堵感と達成感があります。機械設計を希望する方には、考えるおもしろさや、自分が手がけた製品が世の中で価値を発揮するときのうれしさを肌で感じてもらいたいと思います。